Fly Fishing Shop
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すっかり冬になりました
たくさんのエルクがマジソン川に降りてきます
新しいSweetgrass rodの建物
バンブーロッド製作中のジェリーさん
グラファイトロッド担当のサムさん
ノルウェーから修行にきているトーマス君
たくさんの竹竿が出荷を待っています。
ロゴの入ったニッケルシルバーのキャップ
グレンブランケットさんの竹巻き自転車
■ 「Sweet Heart」な「Sweetgrass Rod」

 サンクスギビングも終わり、こちらはもうすっかり冬モード。毎日氷点下の日々が続いています。町では、全米からノルディックスキーの大会が行われるほどたくさんの雪があり,−50度を超える極寒の日々がすぐそこまで迫ってきているかと思うと、気分が落ち込んでしまいます。

 そんな気持ちを吹き飛ばそうと冬の晴れ間、私はよくマジソン川沿いにエルクの群れを探しに車を走らせます。そして今回はそのままエニスを抜け、モンタナでも比較的雪の少ないTwin Bridgesまでドライブして、「Sweet grass Rod」の工房を訪ねました。

 「SweetgrassRod」はご存知の方も多いと思いますが、同じ町にある「R.L Winston Rod 社」の元オーナーで名工バンブーロッドビルダーのグレン・ブランケットさんが立ち上げたフライフィッシングロッドメーカーです。先日町の北のハイウエイ沿いに立派な新しい工房を新築し、移転したばかり。「Hello!!」とドアを開けると、今日はいつもはビュートにすむグレンブランケットさんもいらっしゃって、スタッフみんなが「ウエストの雪はどうだい?」と笑顔で出迎えてくださいました。

 現在「Sweet grass Rod」は注文を受けたたくさんのバンブーロッドが作られています。今回私が訪問したときも丁度ジェリー・カステージさんがグリップを形成なさっている最中でした。またここでは六角バンブーロッドのほかに五角、四角といった竹竿も作られています。はじめて竹竿を手にするなら、ベーシックの六角がいいそうですが、五角も四角のクワッドもおもしろいそうです。私はお金がないので六角のロッドさえ買う余裕はありませんが、もし六角バンブーロッドの次を考えておられる方、試して見られたらいかがでしょ?!どこのバンブーロッドビルダーもそうだと思いますが、なかなか注文をうけても生産が間に合わないそうで仕上げには時間がかかるそうですが、丁寧に一本一本竹竿が作られていく様子をみているのは楽しいものです。日本からも注文がいくつもきているとのことで、日本の方の名前が書かれたタグのついたロッドが仕上げを待つかのようにスタンドにありました。注文された方は楽しみに待っていてくださいね。

 またここ数年グラファイトロッドの生産されていて、R.L Wiston Rod社でグラファイトロッドのデザインに携わっていたサムさんがこちらに移籍し、一本一本彼が手がけています。「Sweet grass Rod」のグラファイトロッドはとにかく軽い!なんどか振ってみましたが、アクションも私好み。硬すぎず、柔らかすぎず、でもスパッとフライがポイントにおとせそうなシャープさがあって、「次買うとしたらこのロッド」と密かに決めています。

 今ノルウエーからトーマス君という若者が修行に2年ほどきているのですが、彼はスカンディナビアンらしく竹でスペイロッドを製作中です。前回彼の作ったスペイロッドを見せてもらいました彼曰くまだまだ試作中だそうですが、グレン ブランケットさんやジェリー カステージさんといったベテランから基本から学んでいるからでしょうか、仕上がりが楽しみなロッドでした。彼はヘンリーズフォークが大好きで、「春になったら竹竿を持ってまた行くんだ。」といっていました。

 昔、坂東幸成さんの「アメリカの竹竿職人たち」という本を読んだことがあります。その中に当時まだR.L Wiston Rod 社にお勤めだったグレンブランケットさんのことに書かれたセクションがあるのですが、ミシガンからきたアマチュアロッドビルダーの質問にご自分がご存知なことは隠さず懇切丁寧に答えていたということや筆者の坂東さんに本の執筆のためにグレンさんがたくさんの資料を送ってくださったことが書かれています。はるばるノルウエーからきたこの若者にもグレンブランケットさんは教えられることはすべて教えるといった姿勢です。現在もアメリカはもとよりヨーロッパにも出かけられ、ロッドビルディングについてのセミナーを開かれたとか。トーマス君も何本ロッドを作って数をこなし、教えてもらったことを忠実に自分の身に着けようとがんばっています。

 そういったグレン・ブランケットさんの意向をうけてか、「Sweet grass Rod」はバンブーロッドについて何もしらない私でさえいつも「WelCome」。仕事で忙しいのに、くだらない私の釣り話やとんちんかんなバンブーロッドの質問にもちゃんと聞いてくださいます。よくこちらの人は「暖かい心をもった人」を「Sweet Heart」と表現します。「Sweetgrass Rod」はモンタナの小さな町の「Sweet Heart」なロッドメーカーなのです。近々新しい工房にはショールームもできるようですから、もしこちらにこられることがあればビーバーヘッドリバーやルビーリバーの釣りをかねて「Sweetgrass Rod」に立ち寄ってみてはいかがでしょうか?きっとみなさんも「Sweet Heart」を感じるはずです。Web Siteもあるようですから、興味のある方はインターネットで検索してみてください。

 入り口に置かれたグレン・ブランケットさんの竹巻きの自転車をみつけて、これまた昔読んだFF誌に写真が載っていたなあと思っていると、「かっこいいでしょ!!」とグレン ブランケットさんがニコリ。彼の笑顔はそう、やっぱり釣りが大好きな少年の笑顔でした。