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ハリマンステートパークの危機を告げる新聞
ハリマンステートパーク
冬のヘンリーズフォークの流れ
HFFの新聞
クロスカントリースキーを楽しむ人々
羽を休める白鳥群
ヘンリーズフォークのレインボートラウト
■ヘンリーズフォークで釣りができると言うこと

 3月にはいっても雪があまり降らず、暖かな日差しは積もった雪をどんどんとかし始めています。いつもの年なら今頃はまだまだXCスキーで野山を駆け巡っているのに、すでにグリズリーベアが冬眠から目覚めたらしく、怖くて森に入ることができません。もし今年特に7月以降こちらに釣行をお考えの方は、夏の渇水、山火事の可能性が大であることを考慮してください。

 2008年秋のリーマンブラザーズショック以来、アメリカ経済は今だ不安材料が山積しています。2009年当初は先行き不安からガイドトリップの予約などが減り、どうなることかと心配していましたが、あけてみるとイエローストンパークの入場数は300万人を超え史上最高数になりましたし、河川の水量も安定して釣果もよく5月以降「遠出をひかえ近場で」といった釣り客がたくさん訪れて、一安心と胸をなでおろして2009年を終えたのです。しかし不景気は思わぬところで、私たち釣り関係者に危機をもたらしたのです。

 1月中旬、アイダホ州の知事が日本のFFマンに有名なヘンリーズフォークのハリマンステートパークを含む州立公園を管理するアイダホ デパートメント オブ パークス アンド レクリーエション(以後IDPR)の予算の削除を提案しました。他にもアイダホ州では小中学校や大学の予算削減、モンタナ州でも新しいCPシステムの導入の取りやめと毎日のようにニュースは公共事業の予算カットを伝えていますし、どこかの州ではすでに州立公園をいくつも閉鎖したと聞いています。それほどどこの州も財政が緊迫しているのですから、日常生活に影響の少ないところから予算をカットしていくのは仕方がないことかもしれませんが、私たちのかけがえのない大自然がその対象になったと思うとなんともやりきれない気持ちになりました。

 ユニオンパシフィック鉄道などで大成功したハリマン一族は、1900年代前半にこの広大な土地11、000エーカー(1エーカー=1224坪)を所有していましたが、一族は鳥や魚、様々な動物が生息し、緑にあふれるこの土地の豊かな自然をいつまでも守って欲しい、一般の人にも楽しんで欲しいと1977年にそれをそっくりそのままアイダホ州に寄付してくださったのです。1982年にパブリックに開かれ、以来夏のフライフィッシングや自転車乗り、秋のホースバックライディング、冬のクロスカントリースキーと環境にダメージが少ないと思われる方法で私たちはこのハリマンステートパークを楽しんできました。特に冬にヘンリーズフォークに飛来する白鳥の優雅さは一度日本の皆さんにも見ていただきたい風景です。

 しかしもし予算がカットされ、もう州立公園として管理できなくなれば、パブリックのアクセスができなくなり、あのお立ち台より先では釣りにはいることができなくなる可能性だってあるのです。「もうヘンリーズフォークでライズするレインボーを釣ることができなくなる。。。。」いろいろな悪い憶測が飛び交いました。でもさすが世界初の国立公園のお膝元、そして$3ブリッジプロジェクトなどのいろいろな諸問題の解決を目の当たりにしてきたこの地域の人たちは黙ってはいませんでした。地元に住む人たちはXCスキー集会を開き、メディアにも訴え、ハリマンステートパークの存続を訴えました。全米に散らばるヘンリーズフォークを愛する釣り人たちはすぐにインターネット上で議論しあい、署名活動をはじめました。ヘンリーズフォークファンデーション、トラウトアンドリミテッド、ネーチャーコンサバシーといった団体も声を上げ、HFFのディレクターは直談判にもいってくれました。

 約2週間後の1月22日だったと思います。知事はIDPRの予算の存続を発表してくださり、ハリマンステートパークは今年もパブリックに開かれることになりました。みんなの声が届き、またほっと一安心。。。。でもこのまま不景気で財政難が続けばこの先どうなるか分からないわけで、今後はハリマンステートパークの維持を地元住民、ヘンリーズフォークで釣りをする人、ハリマンステートパークの自然を愛する人たち皆で真剣に考えていかねばなりません。

 「今年もヘンリーズフォークで釣りができる」 そのためにどれだけの人の努力があったかということ、そして今後もその努力をみんなで続けていかねばならないということを忘れてはいけないと思っています。