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家から見える山には雪が残っています
ギャラティンリバーは氾濫状態
雪が残るイエローストーンの山
サーモンフライニンフの残骸
オレンジスティミレータでつれたブラウン
エルクがマジソンを平気で渡っていきました
何かにつかえそうなバッファローの冬毛
ワイルドフラワーが咲き乱れています
■サーモンフライフィーバー

 夏至がすぎ、やっとBIG SKYがやってきました。でも独立記念日だというのに我が家から見えるタバコルートの山並みにはまだまだ雪が残っています。4月5月になっても雪や低温がつづき、最近急に日中華氏70度をこえる日が続いたので、雪が一気にとけはじめてモンタナ中の河川はどこもかしこも洪水水位をこえる勢いで、全く釣りになりません。ガイドさんたちはフィッシングトリップの場所を探すのに毎日大変だそうです。バンク際でストリーマーをなげて釣ることは可能ですが、水の勢いをみていると身の危険を感じます。一昨日もビッグホールリバーでラフティングをしていた人が転覆して今だみつかっていません。


 そんな状態がずっと続いているので、イエローストーン国立公園のファイヤーフォール、パラダイスバレーのスプリングクリーク、ヘンリーズフォークと多少水が多くても可視可能な場所に釣り人が山のように集まります。先週も一人でファイヤーフォールにいってきましたが、人だらけで入る場所を探すのに一苦労でした。ウエストイエローストーンに住んでいたときは30分もあればいけたので、人がいっぱいならあきらめて帰ったのですが、ボーズマンからは2時間以上かかるのとガソリン代が高騰しているのでそう簡単にあきらめるわけにもいかず、なんとか場所をみつけ釣って帰ってきました。

 さて今週末はどうしようと悩んでいたところ、イエローストーン公園内のマジソンでサーモンフライのころかしらいってみることにしました。一応ファイヤーフォールも見てみましたが、水が先週よりも高く、ライズもみられない、人はたくさんというよくない条件でしたので、さっさとあきらめ、大好きなマジソンのポイントにいきました。もちろん水位は高いのですが、濁っているわけではなく、ティーカラー。紅茶の色のように底はみえるし以前よりは落ち着いた感じがして、絶好のサーモンフライフィッシングの条件にみえました。
 以前にも書きましたが、このあたりフリーストーンの河川にはサーモンフライやゴールデンストーンといった大型のカワゲラが6月終わりから7月上旬にハッチします。このサーモンフライがハッチすると、ライズがなくてもバンク際に#10、#8といったサーモンフライのフライを投げるとすごい勢いで大きなブラウンが飛び出してくるので、本当にたのしい釣りができます。ですから、このころは皆サーモンフライが気になってしょうがないらしく、各フライショップには問い合わせの電話がガンガンかかってくるので、そういう人のことを「サーモンフライフィーバー」と呼んでいます。私も青空の下で大きなフライをつかって大きな魚がつれるので大好きなのです。


 サーモンフライのフライパターンはクラシックなものからラーバーレッグをつけたもの、フォームで浮きがよくなっているものなどたくさんあるのですが、私のお気に入りは#10オレンジのスティミレーター。このフライパターンは、時にはカディス、時にはホッパーと使う場面が多い魔法のフライです。余談ですが、アダムスパラシュートもグレードレイク、ベイティス、PMD、キャリベイティスとこれまた用途の多いフライで、そういったレギュラーのフライパターンはあなどれません。よくセールスレップの方々が「これ使ってみて」とサンプルがくるのですが、長年使われているパターンは実績があるからこそ今もフライビンにはいってお店に並ぶのです。ニック・ニコラスさん(ブルーリボンフライのベテランガイド)が考案したサンケンストーンというパターンも鮮やかなオレンジボディーにエルクのウイングが何層にもついているのですが、このパターンもサーモンフライの長年の実績があります。そういえば、有名な映画
「River runs through it」でブラピ演じるポールが大きな魚を釣ったのもスティミレーターパターンでしたよ。

 家から10分だったイエローストーン公園のマジソンリバー。土曜日にもかかわらず、水位が高いので誰も釣りになると思っていないらしく、釣り人は一人もいません。上流のファイヤーフォールのように横のおじさんフィッシャーを気にしないでいいのです。なんとなくどこに魚がついているかわかっているのでそこへオレンジ色のスティミレーターを投げてみると、一発でブラウントラウトが飛び出してきました。見渡すと岩の陰にはサーモンフライの抜け殻もありました。ワイルドフラワーが咲き始め、バッファローが落としていった冬毛もみつけました。なにかフライパターンにつかえるかもと思い持っていきたかったのですが、ここは国立公園。なにも持ち出してはいけないのです。ふっと振り返ると、エルクの群れが川を渡ろうとしています。数匹赤ちゃんエルクも見えて大丈夫かなあと思っていたのですが、5分もたたないで私などは絶対に渡れないがんがん流れるマジソンを渡って向こう岸にさっていきました。野生の動物たちは厳しい自然で生きるすべをちゃんと知っているのですね。


 その後も何匹かいい型のブラウンが例のオレンジスティミレーターで釣れ、満足満足と思っていると相方はなにもつれていないとのこと。夫はフライボックスからオレンジ
スティミレーターを取り出し半信半疑で結んで投げてみると、ちゃんと釣れてしまいました。

 アメリカに釣行なさる人の多くは「たくさんフライをまいて行かなくては」とフライタイイングに励まれるかと思いますが、フライショップには多くのガイドや釣り人が実績をあげているフライがたくさん並んでいます。何人もの日本人の釣り人がお店にきて「なぜつれないのか」と聞かれることが多くありましたが、案外フライパターンがあっていないことが多くありました。オレンジスティミレーターのなどは日本で使うことはあまりないパターンですし、忙しい渡米前はタイイング時間なかなかないことでしょうから、きっぱりフライは現地調達したほうがいいのかもしれません。

 繰り返しですが、今年のモンタナ周辺への釣行予定の方は記録的な河川水位ですのでぜひフライショップによって、河川と釣りの情報を聞いてください。そのときいっしょに「どんなフライがいい?」と聞くとちゃんと教えてくれるので、お土産と思ってフライを買ってあげてくださいね。ちゃんと教えてくれるフライショップはベテランがそろっています。