Fly Fishing Shop Expert Advice and TOP-of-the-Line Gear Hermit
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Q : フライラインの重さはどうやって決まっているの?
フライラインの雑学について・・


 フライラインの番号の重さや選択がよく分からないというお話があったので、こちらに少しまとめて書いておこうと思います。とは言っても、店主が知る限りで調べて書いていることですから、憶測や私的な見解が少しはあると思うので、書いてあることが100%真実とは思わないで下さいまし。


シングルハンド(片手投げ)のライン設定は分かりやすく、ラインは番号で管理されています。私がフライを始めた40年以上前は、AFTMA(アフトマやアフタマと言っていました)というAmerican Fishing Tackle Manufacturers Associationと言うアメリカの釣具業界で作られた基準にそって作られていました。今はAFFTA(american fly fishing trade association)に変わり現在に至ります。

 このラインの規格ができる前はフライラインの太さはH・G・F・Eという表記のレベルライン(テーパーのないライン)、あるいは(HFH)・(HEH)・(HDH)・(HCH)という表記のダブルテーパーのシルクラインなどが主でした。

 ここで作られる基準(AFFTA)は世界のタックル基準を定めるものではないので無視しても良い訳ですが、それでは混乱を招いてしまうので世界中のフライメーカーはこの規格に準じて開発しています。現在AFFTAで記載されているラインは1~15番まであります。フライラインの規格は使う方の先端から30フィート(約9m)の重さで番手(番号)が決まります。ですのでロッドの番号は9mのラインを出した時に快適に投げられる値です。例えば6番のロッドの規格は10.4gですので、3/8ozのルアーを投げやすいルアーロッド見たいなものだと思ってください。

 ラインは現在のAFFTAの規格の元にロッドもラインが作られているので、ロッドに8番と書いてあれば、フライラインもシングルハンド用の8番を買えば、初心者でも使える訳です。玄人になればキャスティングの技術が向上していますから、ライン番手を無視して1~2番上げたり下げたりして使っても、それに合った投げ方さえできれば振る事は可能です。シングルハンドでのシングルハンドスペイ(一般的にはあまり使いませんので、初心者は無視してください)を行う場合は一般的にシングハンド用のラインを2番手以上あげて使います。ただし番手をあげて使うとロッドに負荷がかかるので、オーバーヘッド(一般的な前後で振る投げ方)でのキャスティングは必要以上の力を入れてしまうと(加減をしないと)、ロッドが破損する危険があります。

シングルハンド用のラインのチャートは(こちら)


シングルハンドに対し、ダブルハンド(両手投げ)のライン設定はとても複雑です。現在のダブルハンドロッドは主にスペイキャスティングという方法で投げるのが主なのですが、私がフライフィッシングを始めた頃はダブハンを振る人のほとんどがオーバーヘッド(頭の上をラインが通る一般的なフライキャスティング)でした。それは雑誌で紹介される記事でダブルハンドを振る姿は沢田賢一郎さんしか見ていなかったもので、その影響を受けた人がほとんどだったのでしょう(その他ではトーナメントキャスティングでしか見た事がありませんでしたしね)。当時は専用のラインが無かったのでシングルハンド用のWFラインを自分の重さに合った長さにカットして、フラットビーム(シューティングランニングライン)を繋いで使う人がほぼ全てだったと思います。

 それと当時からスペイキャスティング(スペイリバーで生まれた独特な投げ方)はちゃんとありましたが、そのスタイルから名前の由来であるスペイリバーでしか使わないキャストだと思っていたのは事実です(そう思っていたのは私だけ?)。当時スペイキャスティングと言えばダブルテーパーをそのまま使い投げ返しやすい重さの所でキャストしていたので、後半は太いままなので遠投するという意識はなく、一定の距離で川の中をくまなく探る、といったイメージでした。

 現在はそのスペイキャスティングの進化と共に遠投や対象魚に併せたラインが増えたため、ダブルハンドの場合ロッドの表記がメチャクチャに書いてあります。例えばこんな感じ。

 13'6" #8/9 4pcs :550~800Grain

と行った具合。

 ダブルハンドの場合、そのロッドをどのように使うかは人によって変わるので、投げる方法の事を書かずに全部書いてあるので、このロッドはまるでどんなラインの重さでも投げられるかのような感じで書いてあります。もし、このロッドに800グレインのラインを乗せてフルパワーでオーバーヘッドキャストをしたら、ロッドは折れてしまうかもしれません。

 ロッドの表記を見る場合、数字で書かれているものはオーバヘッドで投げる場合のライン番手だと思って下さい。もしダブルハンドでオーバーヘッドで使う場合、AFFTAで書かれているシューティングラインの規格の部分を見ると良いでしょう(以下ダブルハンド表のHの列)。

 次にグレイン(grain=0.064グラム)表示で書いてある最低の重さの値である 550 は、スカンジナビアンスタイルやアンダーハンドのスタイルでキャスティングする重さだと思った方が良いでしょう(私的見解です)。上限の800グレインはロングベリーのスペイライン(フルライン)を使った場合の値なので、一般的なキャスターはまずこの値のラインを使う事はないと思った方が良いと私は感じます。

 それ以外にスカジットキャストをする時に使うスカジットラインを使う場合は、スカンジナビアンのラインよりも短くコンパクトな分だけ、若干重いものを使うというくらいの感じで、その先端に重いカスタムティップを使うので、上限のラインの重さを使う事はまずありません(あくまでも私的見解です)。

 という事でダブルハンドの世界はラインはとても複雑で、キャスティングもライン選びもまだまだ混沌としている時代です。キャスティング方法ひとつにしても多すぎて手に負えません。ですからダブルハンドに手を出す場合は、まずどんな魚をどのように釣るか?を考えないと、ラインもロッドも練習しなくてないけないキャスティングも決まりませんので、目的をしっかり持ったロッド選びとライン選びが必要です。

 例えば私の場合、目的はサクラマスとスティールヘッドあるいは北海道でのアメマスなどなので、湖でのダルブハンドキャスティングはあまりする機会はありません。この場合、いずれも河川ですから遠投よりは静かで丁寧なキャストを優先していますので、重いラインを振り回す事がありません(ドーンと沈める時期や大きなフライをキャストする時期は若干変わりますが・・)。そして、川のどちら側からでも投げられるように、ダブルスペイ(右岸からのキャスティング)と、ラウンド、あるいはスナップT(左岸からのキャスティング)の二種類を学べば実戦はそれで良いので、あとは複雑なキャストは後回しにして練習しています。湖や海はオーバーヘッドキャスティングが可能であれば一番遠投が効きますので、オーバーヘッド。それを補うキャストとしてそれぞれのキャストが必要になります。

 もし、ラインの選択に迷ってどのようにしたら良いかわからない人は、ハーミットにご相談ください。タックルや釣りたい魚を教えていただければアドバイスができると思います。ラインの重さと番手については以下の通り。ハーミットなりにAFFTAのラインチャートをまとめましたが、万人がこれでぴったりと言う事はないので、ある程度の指標として考えてください。

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