Fly Fishing Shop Expert Advice and TOP-of-the-Line Gear Hermit
 

Q : フライのキャスティングを教えて!
ムービーと言葉で知るフライキャスティング


 その要望に応えるべく、なんとか撮ってみましたが、早い動きがあるものをキチっと撮ろうとするとそれなりの装備が必要なので、これで勘弁してください。

 管理人の著書である『フライフィッシングをはじめよう』の入門書では、キャスティングの部分を事細かには説明していません。フライキャスティングは机上で論じるよりも、体でマスターするもの。ですので、このムービーを何度も見てイメージトレーニングした上で、公園などで練習してください。1年経ってもフライラインが地面へ擦れちゃうような人も、初心に返ってこのページを参考に練習してみましょう。

キャスティングの練習に入る前に、まずラインが地面をこすらずに空中を舞うために必要なエネルギーは何か?をおさらいしましょう。

ロッドの反発力=ロッドを充分に曲げてラインがはじき出されるエネルギーを100%出せれば、ロッドの持つ性能を最大限に生かしていることになります。オモリのないロッドでどう曲げるか?をよく考えてみましょう(フライラインの出ている長さが長いほど、その重さでロッドが曲がりやすいですが、ラインがないオモリのない状態でも曲げられる事も重要です)。

ラインスピード=ラインが伸びていくスピードが上がれば、ラインは地面に擦れません。ロッドの反発力以外でスピードを上げるには、ダブルフォールでラインスピードをあげるのが一番です。それ以外にスピードをあげるためには振り幅やフォームの見直しなどが必要になります。

回転軸=ロッドと腕は一本の線と考えて下さい。例えるならば時計の回転軸である中心がヒジで、腕とロッドは時計の針です。時計の針は途中から極端に曲がる(極端に手首を使ってしまう)と正しい時刻を示す事ができません。ただし、ロッドのティップは時計の文字盤をならいません。ロッドの先端は時計の1時から10時の間を限りなく直線に近い動きになるのが理想です。(時計の文字盤で例えてますが、ロッドティップは直線の動きをしますので、竿先は文字盤の12時よりも下を通ることになります。)

ラインの進む方向=ロッドのティップ。フライロッドの先端の描いた軌跡をラインは真似て動きます。ロッドの動く方向は飛ばしたいと思う方向に進まなくてはなりません。自分の真正面へ飛ばしたいのであれば、その180°反対方向にもラインを真っすぐ伸ばしてやる事でロッドは後方へ引っ張られ、前方へ投げる最後のキャスト(シュート)の補助エネルギーになります。ラインは常に直線に動いている事を意識すれば、手首を沢山使えなくなる筈(押し出したり、引っぱり上げたりするイメージ)です。

□ ステップ1

まずは難しく考えずにロッドの2.5〜3倍くらいラインを出して、ロッドと一緒にラインを握り込んじゃってください。その状態でキャスティングの練習をしましょう。

ムービーで注意深く見て頂きたい点は、ロッドの止める位置と、バックキャスト(またはフォワードキャスト)へ移行する時のロッドの動きです。ちゃんとキャスティングができるようになると、スムーズな動作の後に留めている位置でロッドがぴたっと止まるのが映像で分かると思います。また、次の動作へ移行する時に、躊躇なくそのまま次の動作へ入る点です。ロッドティップは直線上に動き、加速したロッドがうまく止めることができれば、ロッドはぐにゃりと曲がり、ラインははじき出されるように飛んでいきます。

※ロングキャスト時はストップの後にフォロースルー(ドリフト)が入るので、止めたあとに少しラインの伸びていく方向にロッドティップが動きますが、その理由はキャスティングアーク(振り幅)を大きくし、加速するための距離を得るための動作です。

理想はフォルスキャスティングの伸びていくティップの軌跡が直線的であること、それに着水時はフライラインの先端から元まで同時に着水することを目指しましょう。

もし以下のような症状が出ているようであれば、あなたは元ルアーキャスターだった可能性が高いので、矯正には少々時間が掛かるかもしれません。

改善点→多分あなたはフライラインを遠くへ飛ばそうと、意気込んでいるはずです。そのため、ルアーキャスティングで使う手首のスナップをそのまま使い、一度バックキャストで止めた後、さらに反動をつけて飛ばそうとしています。これだとロッドティップが直線上に動かず、フォワードキャストへの移行がうまく繋がらないために、せっかく後方へ伸びていったラインの力で曲げるロッドのティップのエネルギーを投げたい方向に利用できないために、ラインの重さ(後ろに伸びていく反作用)を生かせていません。

 フライキャスティングも正確には手首のスナップを使いますが、ルアーキャスティングのように、手首を締める動作の前に開いてから閉じる、という動作がありません。手首を使ってもロッドの先端は扇状に動かしてはいけません。一番いけないのはロッドを止めた後に開いて閉じ直すという動作で、親指側の手首にシワができるほど曲げること、これが御法度です。このリストの使い過ぎに良い事は何もないので、全くの初心者に教える時は「手首を使わないでください。」と嘘を教えてスタートする事もあります。

上記のような症状がある場合、まずはリールエンドと手首を縛っちゃいましょう。紐はロッドバンド(ロッドを束ねるバンド、またはチャリンコ用の裾を留めるバンドなど)が適当です。その場合、少しだけ間隔を空けてください(指2~3本分まで)。

こうすることで、所定の位置でストップしたあとに、スナップを利かせて投げられなくなるはずです。また、必要以上に曲がりませんから、親指側の手首に、シワがよりません。開き直してしからとじてしまう動作を取るためのものですので、所定の位置でストップしてからこの隙間分だけリストを閉じることは有効です。どうですか?大分キャスティングの癖は抜けたのでは?

ある程度ラインがスルスルと出ていくようになったらば、ラインコントロールの練習も怠らずに(この方法はリストをほぼ使わない方法なので、最終的にフルラインを出すのには適さず、ラインコントロール重視のキャスティングに適しています)。

2013年の春にアングリングファンの取材を手伝いまして、その時にフライキャスティングのムービーを取りました。こちらでは言葉と動画で説明してますので、わかりやすいかと思いますので、こちら(Youtube)をご覧下さい。

そして話はダブルホールへと続きます。